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パンだな―パンダ主婦の本棚

よく眠りたまに色々考える主婦、twitterID:toppinpararinの本棚にある絵本をつらつら紹介していくブログです。

コンプレックスの絵本。

コンプレックスの絵本、なんて銘打っておきながら、私はまだ迷っております。

コンプレックスって何でしょうね。心理学用語としては「何らかの感情によって統合されている心的内容の集まりである。」とあるのですが、誤用が世間一般に広まった結果として、コンプレックス=劣等感のこと、と捉えられているようです。

自分が劣等感を初めて抱いたのっていつの事か、覚えてますか?

私は覚えてないです。たぶんずっと小さなころから、劣等感はいつも傍にあったような気がします。両親や親せきや、田舎特有の狭いコミュニティの中で、特に容姿については、けなされた事こそあれ、褒められた覚えがほとんどないのです。

一度もないなんて事は常識で考えてもあり得ないと思うのですが、とにかく子どもは10の褒め言葉よりも、たった1つの鋭い自分への否定を強く覚えているものなのかもしれません。

「太っていてみっともない」「爪を噛んでいて汚い」「服のセンスが悪い、肌や髪の手入れが悪い」「目つきが悪い(目が悪かったので)」「お母さんに似ていない(母は美人と呼んでいい部類です)」

そんな風に評された容姿や、女性としてのありようへのコンプレックスは子どもの頃から私の心に深く根を下ろし、常に付きまとい、一緒に成長してきたのです。

コンプレックスは、私をしょんぼりさせるばかりではありませんでした。

むしろ表面上は、私はそんな風に言われれば言われるほど、「容姿で判断するような人に好かれなくてもいい」「太っていても誰にも迷惑かけていない」「肌や髪のお手入れにかまけてたら頭空っぽになる、勉強したほうがいい」とどんどん語気を強め、頑なになっていきました。迫りくる自己肯定感への攻撃に、せっせと防壁を立てていたのです。

内心ではずっと、きれいになりたかったのに。でも、わくわくする気持ちでマニキュアを買ってくれば「そんな短い爪に塗ってもみっともない」、化粧水を買ってくれば「それより痩せた方がいい」、頑張ってダイエットすれば「まだまだ太い」、そんな言葉に、わずかに芽生えた勇気を挫かれ続けてきました。

自分で一度コンプレックスに対する防壁を作ってしまうと、その価値観にすがるようにもなっていきます。自己肯定感の根っこが発達していないので、些細な批判にもすぐに心が折れてしまうのです。

 

前置きがずいぶん長く、個人的になってしまいました。

これからご紹介する絵本の主人公たちは、みんなそれぞれ形の違うコンプレックスを抱えているのではないかと思います。

 

せかいいちのねこ (MOEのえほん)

せかいいちのねこ (MOEのえほん)

 

 「せかいいちのねこ」

イラストレーターとしても人気のヒグチユウコさんの絵本。

ぬいぐるみのニャンコは、持ち主の男の子が大きくなって、ぬいぐるみに飽きてしまうのではないかと恐れています。

猫のヒゲを集めて綿の身体に入れ込めば、本当の猫になれるという話を聞きつけ、家を出てヒゲ集めの旅に出ます。本当の猫になれば、男の子もずっとかわいがってくれると思って…

旅の途中で出会う様々な猫たち。その表情もしぐさもさまざまですが、どれもとっても猫らしい。

 

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服を着て、すっくと立って(全然猫背じゃない!)、犬まで連れているのにこの猫らしさ。

ニャンコが、様々なほんものの猫たちとの出会いを経て、自分の居場所を再確認するまでの切なく、心温まるお話です。読んであげるなら年中さんくらいから。長めのお話です。

 

 

きょうは、おおかみ

きょうは、おおかみ

  • 作者: キョウ・マクレア,イザベル・アーセノー,小島明子
  • 出版社/メーカー: きじとら出版
  • 発売日: 2015/03/13
  • メディア: 大型本
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 「きょうは、おおかみ」

妹のバージニアは、目が覚めると、おおかみみたいにむしゃくしゃしてた―

 

とにかく何でも気に食わない。楽しそうにしてる友達も。お姉さんのバネッサの素敵なワンピースも。ご機嫌を取ろうといろいろ働きかけてくれるバネッサの優しさも、何もかも!!!

そんなどうしようもない「おおかみ気分」、覚えがある人も多いのではないでしょうか。

むしゃくしゃして当り散らして、我儘だって叱られてまた反発して、そのおおかみの牙に一番傷つけられているのは、他でもない自分自身だったりするのですよね。

この絵本、お姉さんのバネッサのまるで聖母のような暖かな接し方で、バージニアの心がほどけていく、というお話です。

とても素敵な姉妹愛のお話なんだけど、ひねくれた大人としては、あんまりにも優しいお姉さんの存在が、バージニアのおおかみ気分、コンプレックスの原因の一つでもあるんじゃないか―姉さんみたいになれない自分、という―なんて穿った見方をしてしまいます。

それもまた、これからの二人の成長によって変わっていくものだと思える明るいラストですけれどもね。

小学校低学年くらいから、あえての高学年まで。おすすめです。

 

へんてこりんなサムとねこ (1981年) (アメリカ創作絵本シリーズ)

へんてこりんなサムとねこ (1981年) (アメリカ創作絵本シリーズ)

 

 「へんてこりんなサムとねこ」

絶版本で、古本にはプレミア価格が付いてるのですが、ぜひ紹介したかったので。

サムは港町に住む女の子。「へんてこりん」=空想、でまかせ、嘘 ばかり言っています。

赤ちゃんカンガルーを飼っていること。玄関のマットは竜の引っ張る戦車。お母さんは人魚であること。(サムのお母さんが亡くなっていることはみんな知っています)

空想で必死に自分の小さな心を守っているサムの友達は、年寄りねこのバングスと、サムの言うことは何でも信じる、小さな男の子トーマス。

ある日、トーマスはサムの言うとおり、赤ちゃんカンガルーを探して、危険な岩礁へ向かってしまいます―

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抑えたトーンの挿絵が、サムの今にも崩れそうな世界を描き出しています。

最後はちゃんとハッピーエンド。サムは、自分の空想―「へんてこりん」とどう決着をつけるのでしょうか?

図書館にも蔵書があるところが多いので、ぜひ手に取ってみて下さい。

小学校くらいから。

 

 

かいじゅうたちのいるところ

かいじゅうたちのいるところ

  • 作者: モーリス・センダック,じんぐうてるお,Maurice Sendak
  • 出版社/メーカー: 冨山房
  • 発売日: 1975/12/05
  • メディア: ハードカバー
  • 購入: 19人 クリック: 836回
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 「かいじゅうたちのいるところ」。

モーリス・センダック作品の中では、日本で一番有名な絵本ではないでしょうか。

初めて読んだときは、いたずら好きの男の子マックスが好き放題に暴れ、平気な顔で家出をし、かいじゅうたちを従えて、あっさり家に帰ってくる-そんな愉快痛快な絵本だと思っていました。

でも自分が子供を持ってから改めて読み返すと、男の子がお母さんから「このかいじゅう!」と叱られ、「おまえをたべちゃうぞ!」と威勢よく言い返す時、その心はどんなに荒く波立っていることか、どんなに切なく虚勢を張っていることかと、しみじみとマックス(主人公)が愛しく感じました。

そう思うと、旅立った後のかいじゅうたちとのやり取りも、どうしてあんなにマックスが最強なのか、かいじゅうたちの王様なのか、わかるような気がします。

自分を認めて、自分の思うままになる世界が、マックスには必要だったんですね。

そこで自分の中の荒ぶるものを思う存分発散して、そしてやっと素直に、帰りたいと思えるようになる。

素直にごめんねが言えないのは、悪い子だからじゃなく、自分だってもしかして、自分がかいじゅうなんじゃないかと思ってしまうから。自信がないからなんじゃないかなぁ、と思ってしまう男子の母なのでした。

2~3歳ころから楽しめます。ただしかいじゅうはかなり怖いビジュアルです笑。

 

と、勝手にコンプレックス絵本と括った4冊をご紹介しました。

この絵本の主人公たちはみんなそれぞれ、絵本のストーリーを通じて自分の居場所を見つけたり、再確認したりしていきます。

振り返って自分はどうかなと。コンプレックスを抱えたまま大人になってしまった自分には、優しく導いてくれる猫たちも、年寄りねこのバングスも、優しいお姉さんもかいじゅうたちも居ないけど、それでも抱えてきた心のしこりのおかげで、この絵本たちをしみじみ愛しく思う部分もあるのだと思うと、悪いことばかりじゃないと思います。

最近やっと、自分で自分をかわいがってやりたい、自分だってきれいになりたいと思っていいんだ、と変わってきました。

およそ30年ほどかかりましたが、芽生えかけた自己肯定感を大事に、時にはいろんな愛すべき絵本たちの力を借りて、育てていきたいと思っております。

 

あと体に悪いので普通に痩せようとは思いますデブ(語尾)!!!!!

 

 

 

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