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パンだな―パンダ主婦の本棚

よく眠りたまに色々考える主婦、twitterID:toppinpararinの本棚にある絵本をつらつら紹介していくブログです。

2016年に買ったすごい絵本② 勉強になってしまうのよ、ならなくても全くかまわないんだけど

昨年私が買ったすごい絵本たちを紹介する記事、第二弾でございます。

今回はなんとなく、いろんな意味で勉強になってしまう絵本。

いや、私は、絵本を読むことで勉強になんてならなくてまったく構わないと思っているので、

いわゆる知識絵本みたいなものは本棚にもあんまり無いんですけども。

「圧倒的な絵の力で、物語の世界はもちろん、描かれている機械の構造までわかってしまう」とか、

「理屈じゃねえんだよ!説得力とはこういうことだ!」とか。

「素敵なお庭が欲しくなるし、なんとなく庭仕事の手順がわかってしまった」とか。

そういう余禄のある絵本ということで、ひとつ。

 ちなみに第一弾の記事は↓こちら。

www.toppinpararin.com

 

さあどんどん紹介していきましょう。

 まずは「船を見にいく」。

船を見にいく

船を見にいく

  • 作者: アントニオ・コック,ルーカ・カインミ,なかのじゅんこ
  • 出版社/メーカー: きじとら出版
  • 発売日: 2016/07/11
  • メディア: 大型本
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 船を造るところを見に行くのが好きな「ぼく」。

 

― 船はじっと、とまってるわけじゃない。

ゆっくりと、いきをしながらねむっているんだ。―

 

造船所が大好きな少年、というと、かっこいい船がたくさん出てくる乗り物絵本だと思うじゃないですか。

この本はそういうわけじゃないんです。いや、かっこいい船はもちろん、船の内部構造までしっかりと描かれているんですが、これを乗り物絵本と呼ぶにはあまりにも昏く、あまりにも深いのです。

 

― 船のなかはひんやりしていて、とうめいな人たちがいっぱいいる。

さわろうとしてもさわれない、旅人のゆうれいなんだ。

(中略)

みんな、過去も着替えも、思い出も、もっていない。

けれど、この世じゃないどこかで発行されたチケットをもっていて、ながいながい旅をつづけている。―

 

夜中にしのびこみ、「とうめいな人たち」と同じ空気を吸う少年。

冷たく暗い海、巨大な鉄の塊が息づく。朽ちた船はまた新しい船の材料に使われ、完成した船は旅立ち、いつか息絶えてまた新しい船が作られる。

うずまく海に、呼吸する鉄の塊に魅せられて、誰にも言えない秘密を胸に抱く少年。

船って、旅って、なんでしょうね。

その答えの一つがこの絵本なのではと思います。

読み聞かせの目安は6~7分。

対象年齢は小学校高学年~大人まで。(主婦の独断と偏見による)

 

 

「ラン パン パン」

 

ラン パン パン―インドみんわ (児童図書館・絵本の部屋)

ラン パン パン―インドみんわ (児童図書館・絵本の部屋)

  • 作者: マギーダフ,アリアンヌドウィ,ホセアルエゴ,山口文生
  • 出版社/メーカー: 評論社
  • 発売日: 1989/06
  • メディア: 単行本
  • 購入: 2人 クリック: 15回
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 奇想天外なだけじゃない。見よ!この圧倒的説得力を!

私は寡聞にして知らなかったのですが、こちら1989年発売のロングセラー。

インドの民話を基にした絵本です。

妻を横暴な王にさらわれたクロドリは、怒りに燃えて妻を救い出す旅に出ます。

このクロドリの勇ましいことといったら!

道中出会った、王に恨みを抱く動物や、木の枝や、川(川!)を、

耳の中に入れて(耳の中!)、王様を懲らしめに向かいます。

これを小学校の子どもたちの前で読んでいると、何度も「え~っ!」という声が子供から上がります。「耳の中にネコが入るわけないじゃん!」「アリを耳に入れたらかゆいし~!」当然と言えば当然ですが、小生意気なツッコミも遠慮なく入ります。

しかし怯んではいけない。堂々と読み進めて下さい。

子どもたちは、ちょっとした間違いや、理屈に合わないことが大好きです。

この絵本が出版されてから、いや基になった民話が大人から子供へ語られるたびに、

その場にはきっと子供たちの、何万回、何億回の「え~っ!」という声が上がっていたことでしょう。

いつしか子供たちはこの絵本の奇想天外な物語とカラフルで動きのある構図に引き込まれ、最後にクロドリの耳から川が流れだし大洪水を起こすシーンでは、手に汗握る真剣な顔や、会心の笑みに出会えることと思います。

もうね、入るったら入るの。耳に。耳に川が入るったら入るのよ黙って見てろ。物語の暴力的なまでの説得力は民話ならではでしょうか。

子どもの物語には、彼ら自身のごっこ遊びのように、整合性なんてものは原則として必要ないんです。

あり得なくていい。自由でいい。美しく闊達であれ!

この本を読むたび、そんな風に頭をガツンと殴られるような衝撃を感じます。

読み聞かせの目安は7~8分。

対象年齢は年少さん~小学校中学年くらいまでかな。

 

 

次に「庭にたねをまこう!」

 

庭にたねをまこう!

庭にたねをまこう!

 

 春を迎えた子供たちが、自宅の庭にたねをまき、いろんな植物を育て、

収穫物でパーティを開くまでの輝かしい季節を描いた絵本です。

これね、判型がとてもいいんですよ。細長い絶妙なサイズ感の絵本で、ちょっと目を惹くデザインです。

子どもたちの庭仕事の様子がとても活き活きと驚きに満ちていて、それでいて作業は的を射ている。頼れるアドバイザーとして、ブラッサムおじさんがいるのです。

庭に集まる小鳥やカエル、虫たち…小さな生き物もたくさん描かれます。

雑草取りも、害虫退治も、みんなでやればこわくない!

子どもには、ちょっとした庭仕事のハウツー本にもなります。

自分だけのすてきな庭がほしくなることうけあい。庭仕事がそろそろはじまる、今の季節にぴったりの絵本です。

読み聞かせの目安は、文章の量がかなり多いので15分~20分くらい。

本が小さ目なので、大勢への読み聞かせにはあまり向かないかも。

おうちでゆっくり子どもと眺めていたい感じの本ですね。

対象年齢は年長~小学生くらいまで。

 

 

次に「あたまをなくしたおとこ」

 

あたまをなくしたおとこ

あたまをなくしたおとこ

  • 作者: クレール・H・ビショップ,ロバート・マックロスキー,もりうち すみこ
  • 出版社/メーカー: 瑞雲舎
  • 発売日: 2011/05/05
  • メディア: ハードカバー
  • 購入: 1人 クリック: 33回
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 ある朝、男が目覚めてみると、なんと頭がなくなっていた!

奇想天外で、ひたすらシュールなストーリー。

古典名作絵本ですが、邦訳されたのは2011年。

「かもさんおとおり」「サリーのこけももつみ」などのロバート・マックロスキーの絵が、20世紀初頭のアメリカの市場や祭り、見世物などの風景を活き活きと描き出しています。

こういう、歴史の教科書にはあまり載っていない、世界のいろんな風景を垣間見るってとても貴重な体験だと思います。

私の場合はフェリーニの「道」を観た時に、ああサーカスってこんな世界だったのか、旅芸人ってこういう人のことを言うのか、私たちの生活とかけ離れた世界が、数十年前のイタリアにあったのか!と強烈に思ったことを覚えています。

お話自体は本当にもう、奇想天外だしオチはひどい(いい意味で)し。

それかい!散々引っ張ってそれかい!もやもやするわ!という…笑

子どもたちと一緒に、なんてバカらしいんだ!と笑って読んで、しかし近代アメリカの原風景はしっかりと心に残るという、なんかもう一粒で二度おいしい絵本です。

読み聞かせの目安は7~8分。

対象年齢は年長さん~小学生くらい。

 

この記事の最後は「稲と日本人」

 

稲と日本人 (福音館の科学シリーズ)

稲と日本人 (福音館の科学シリーズ)

 

 日本人が古くから主食にしてきた米。

その米を食べ続け、命をつなぐために、日本人と稲はどう対峙してきたか。

稲の品種の変遷、絶え間ない品種改良の歴史から、

たびたび襲う凄惨な飢饉、水不足を補う工夫や水争いについて。

そして現代の米作りの現状と課題から、未来への展望まで。

現代の私たちにとっては主食の選択肢の一つに過ぎなくなっている米が、

歴史上、いかに日本人とともにあり、命綱であったのかを丁寧に、淡々と教えてくれる凄みのある読み物絵本です。

淡々とした語り口ゆえに、むしろ飢饉の恐ろしさが身に沁みます。

享保の大飢饉では、飢餓で行き倒れた男の一人は、身なりも立派で、大金を持っていたこと。

どんな大金持ちでもたった一椀の米を買うこともできなかったという悲しくも虚しい話の部分では、その時読んでいた小学六年生の、少しざわついていた教室がシンと静まり返りました。

食べるとは生きることである、その原点を問い直す、ガツンと重い一作です。

読み聞かせの目安は、テキストが多いので、全部読むと30分近くかかります。

そのため、私が小学校で読むときは主だった部分をかいつまんで紹介するブックトークの形をとります。

いずれ図書館などで、ひとりでも手に取って読んでくれる子が増えてほしいと心から思う絵本です。

対象年齢は小学校高学年~大人まで。

 

 

さて、今回の紹介はこのくらいにしましょう。

続きはぼちぼち書いていきますので、またお目見えできるとうれしいです。

 

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