パンだな―パンダ主婦の本棚

よく眠りたまに色々考える主婦、twitterID:toppinpararinの本棚にある絵本をつらつら紹介していくブログです。

「この本をかくして」

大変久しぶりのブログ更新となりました。絵本屋さんで出会ったこの本をどうしても紹介したかったもので。

 

f:id:toppinpararin:20180522233726j:plain

「この本をかくして」マーガレット・ワイルド文/フレヤ・ブラックウッド絵/アーサー・ビナード訳/岩崎書店

 

【あらすじ】

戦争で迫害を受け、生まれ故郷を追われた父と息子のピーター。

爆弾は町の図書館を焼きつくし、残ったのはピーターの父が借りていた、彼らの歴史が記された赤い表紙の本。父はその本を大切に鉄の箱に入れて持ち出した。

故郷を追われ流浪の旅を続ける中、次第に衰弱していく父は、それでも決してその本を手放そうとはしなかった。

f:id:toppinpararin:20180522233753j:plain

やがて父は息絶え、ピーターは自分のかばんを諦めても、鉄の箱を必死で持って逃げる。
しかし追手が迫る中、体力の限界を迎えたピーターは、鉄の箱をある村の大きなシナノキの根本に埋める。何よりも大切な宝物だと、父から託された大切な本を。


やがてピーターは外国へ渡り、新天地で立派な青年になった。
それでも決してあの本のことを忘れてはいなかった。

戦争が終わるのを待っていたのだ。
長い戦争がやっと終わりを告げた時、ピーターはあの村の木を探し当てた。
宝箱を掘り返すのか、宝石や金銀が出てくるのか、と期待に満ちた目を向ける小さな女の子に、ピーターは掘り出した本を見せる。
「ぼくらにつながるむかしの人たちのことが ここにかいてある。 ぼくらがどこからきたか、それは金や銀よりもだいじ」と。

ピーターは、本を自分の生まれ故郷の町へ持っていく。

かつて爆撃で燃えてしまった図書館の跡には、新しい図書館が建っていた。

ピーターはその図書館の職員に、一番大切な本を託す。
「図書館にあれば、きっとだれかがみつけて よむだろう」

 

というお話です。
抑えた語り口と穏やかな絵が、素晴らしい、の一言です。
感情的にならず、物静かに理性的に、戦争の残酷さ、争うことのむなしさを伝えてくれる。
表紙の裏をはじめ、挿絵の随所に外国語の本のコラージュが。本を題材にした作品らしい趣向だな、と思っていたのですが、よく見ると使われているのはいくつかの言語があるようで、気になって調べてみたら、ハンガリー語、スロベニア語、セルビア語、イタリア語などのようで。
旧ユーゴスラビアの紛争を題材にしているのかな…世界史が苦手なので自信がないのですが。
本文では、あえて国や年代を特定しないことで、世界中の子供が親しんで読むことのできる普遍的な物語とすることに成功していると思いました。(原文でもそうなのか、訳文の妙なのかはわからないですが…原書が読んでみたい)

f:id:toppinpararin:20180522233811j:plain

 自分のルーツを知り、街ですれ違う様々な国の、様々な民族の人たちのルーツを知ることは、お互いの文化を尊重し、無用な争いを防ぐことに繋がるのではないか。
誰の歴史も、誰の文化も踏みにじられるべきではない、と、この本を通じて子どもたちが少しでも感じ取ってくれると嬉しいと思い、小学校での読み聞かせスタメン本リストにこの一冊を追加しました。
重いテーマではありますが、語り口は平易で、ほのかな希望が見えるラストが印象的です。小学校中学年くらい~大人まで、本気でおすすめの一冊です。ぜひ。

 

この本をかくして

この本をかくして

  • 作者: マーガレット・ワイルド,フレヤ・ブラックウッド,アーサー・ビナード
  • 出版社/メーカー: 岩崎書店
  • 発売日: 2017/06/21
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 こちら↓で書いた絵本屋さんで購入しました。行けばいつも素晴らしい発見があるお店です。大好き。

www.toppinpararin.com